後立山 布引山(2683m)、鹿島槍ヶ岳南峰(2889.2m)、北峰(2842m) 2016年9月24日  カウント:画像読み出し不能

所要時間

 2:55 大谷原−−3:48 西俣出合(堰堤)−−4:35 遭難レリーフ−−5:15 高千穂平−−6:14 県境稜線−−6:24 冷池山荘−−6:32 テント場−−7:15 布引山−−7:53 鹿島槍ヶ岳南峰(休憩) 8:59−−9:15 鹿島槍ヶ岳北峰 9:18−−9:43 鹿島槍ヶ岳南峰(休憩) 10:55−−11:18 布引山−−11:42 テント場−−11:45 冷池山荘−−11:57 県境稜線−−12:25 高千穂平−−12:44 遭難レリーフ−−13:09 西俣出合(堰堤)−−13:57 大谷原

場所長野県大町市/富山県黒部市/富山県中新川郡立山町
年月日2016年9月24日 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場大谷原に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無赤岩尾根上部のガレトラバースは転落注意(鎖あり)。また、鹿島槍ヶ岳南峰から北峰方向への下りは急な岩場あり(鎖無し)
山頂の展望3つの山頂とも大展望
GPSトラックログ
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コメント微妙な天気予報(曇後雨)だったが雨はお昼からとの予報なので鹿島槍を選択。曇りだったが高曇りで展望は良かった。稜線は紅葉が進んでいた


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大谷原駐車場ゲート 林道終点(西俣出合)には休憩所ができていた
堰堤中のトンネルで対岸へ 月が出ているが傘をかぶっている
遭難レリーフ直下岩場のマーキング 高千穂平
東の空が明るくなってきた 主稜線にはガス無し
日の出(5:37) 山肌が赤く染まる
木々も赤く染まる ダケカンバは紅葉する前に落葉が進んでいる
ガレをトラバース 県境稜線に合流
県境稜線合流から見た西側の展望(クリックで拡大)
県境稜線合流から見た鹿島槍 冷池山荘
テント場その1 テント場その2
メインのテント場
登ってきた赤岩尾根
しばし東側をトラバース 本格的に森林限界突破
布引山への登り 布引山山頂
布引山から見た鹿島槍〜牛首山
鹿島槍への登り 鹿島槍山頂(南峰)
鹿島槍から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
鹿島槍から見た立山、劒岳、劒岳北峰稜線(クリックで拡大)
鹿島槍から見た後立山北部(クリックで拡大)
鹿島槍から見た常念山脈、槍穂
鹿島槍から見た針ノ木岳、水晶岳
鹿島槍から見た薬師岳
鹿島槍から見た清水岳〜名剣山
鹿島槍から見た白馬岳周辺
鹿島槍から見た鹿島槍北峰と東尾根
鹿島槍から見たキレット小屋 鹿島槍から見た牛首山
北峰への下りから見た南峰 鞍部西側から見た北峰
北峰分岐。縦走路は北峰を巻いてしまう 北峰へ向かう
鹿島槍北峰山頂 鹿島槍北峰から見た鹿島槍南峰
鹿島槍北峰から見た五龍岳方面 鹿島槍北峰から見たキレット小屋
鹿島槍北峰から見た鹿島槍東尾根 鹿島槍北峰から見たカクネ里。ほぼ無雪
鹿島槍北峰から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
南峰への登り 南峰再び
鹿島槍から見た劒岳北峰稜線
鹿島槍から見た槍穂。ガスが徐々に晴れてきた
鹿島槍から見た入善方面と富山湾 下山開始
布引山への登り返し ヘリが飛んでいたが鹿島槍を通り過ぎた
槍穂の雲がさらに切れてきた
冷池山荘テント場
赤岩尾根分岐 高千穂平
遭難レリーフ 遭難レリーフ拡大
堰堤中のトンネル 林道終点
トイレ等の運搬に使ったのか? 沢で水浴びした
監視小屋、休憩所、トイレ 監視小屋の中にある
たぶん今シーズン中は存在し続けそう トイレまである
西俣出合 堰堤工事現場入口
鹿島槍東尾根踏跡入口 ゲート到着
大谷原駐車場


 またしても週末の天候が怪しい。日曜日は良くなりそうだが土曜日は湿った空気や寒気の影響で曇りで午後から雨の予報。雨を我慢すれば日曜朝は山頂でいい眺めを楽しめる可能性があるが、雨の中の幕営は8月の白馬岳でもうごめんだ。というわけで日帰りで行ける山を検討、たまにはまともに体力を使おうと大谷原から鹿島槍を目指すことにした。累積標高差は約1800mで、北峰往復を含めると約2000mとなり日帰りだとかなりきつい部類に入る。北峰まで行くかどうかは現地での天候、到着時刻、疲労程度で判断することにした。

 残業無しで会社を出られたので大谷原到着はPM9:00、車は皆無だった。今週は天候が悪かったので平日に入る人が少なかったのだろう。いたとしても柏原新道経由だろう。橋を渡った先の駐車場の端に車を置いて酒を飲んで寝た。睡眠時間はたっぷり取れるので、明日は早い時刻に出発できるだろう。

 翌朝、2時半前に起床。駐車場には到着時と同じく他に車は無し。橋の向こう側の駐車場の状況は不明だが数が少ないのは間違いない。体感温度は先週より高めでTシャツ半ズボンでも寒くはない。温度計を見ると10℃強で先週より僅かばかり高いだけなので湿気が高いのだろう。今週もライトを点けて出発。2時間ちょっとはライトの光で歩くことになるだろう。残念ながら星は見えていないが薄雲を通して月が見えており、雲は薄い雲海らしい。今のところ天候は心配なさそうだ。

 林道を歩き終えると終点には仮設の休憩所、トイレ、監視ボックスが新設されていた。何か工事が始まるのかと思ったら、このすぐ下流で堰堤工事をやっている影響らしかった。監視ボックスの中には土石流警報スイッチが。雨が予想される場合は人が詰めるのであろう。

 飲み物は担いでいるので水の補給はなしで堰堤の中に設けられたトンネルで対岸へと渡り、赤岩尾根へ取り付く。しばらくは延々と登りが続くがこの登山道の整備状況は良好なので心配なし。ただし昨夜まで降っていた雨の影響で岩や木の根、木の階段は濡れたままで滑りやすい。登りはまだいいが下りは気を使いそうだ。たまに後を振り返ると林道終点付近にライトの光が見えて後続の登山者がいることが分かったが、光はピクリとも動かなかった。休憩中らしいがヘッドライトを何かの上に置いているようだ。標高差にして200m程度のビハインドだろうか。

 黄色いペイントのある小さな岩屋のすぐ上が遭難慰霊レリーフがある岩場。標高は約1730mだ。夏道は北を巻いているが冬場は尾根直上の急な岩場を直登らしく岩場に赤布がぶら下がっている。

 濡れて滑りやすい鉄製の階段を登り、傾斜が緩んで水溜りのある小凹部に達すれば高千穂平は近い。開けた肩に到着、高千穂平の標識が立っているが、正確にはここは山頂ではなくさらに東に飛び出した肩が正確な高千穂平であるが、そこへは道は無く藪を漕ぐ必要がある。以前、正確な山頂は踏んでいるので今回はパス。ここまで登ると東の空が明るくなり、ライトはギリギリ不要な程度まで明るくなってきた。森林限界ならもう少し早くライト不要だろう。

 やがて日の出を迎えて山肌が赤く染まる。時刻は5:36。夏場より1時間も日の出が遅くなった。雲間は東の水平線付近だけで太陽が出ている時間は僅かで、すぐに雲の中に入ってしまった。上空は広範囲に雲が覆っており、今日は晴れは期待できないが雨が降りそうな暗い雲ではなく薄雲だ。直射日光を遮って暑さを防いでくれる有難い曇りと考えよう。気温は相変わらず+10℃くらいだ。

 周辺は紅葉が進んでいるがダケカンバは紅葉せずに落葉してしまった木が多い。強風が吹いたのだろうか。主稜線の森林限界の山肌は草紅葉の紅葉だ。もうちょっとでそこまで手が届く。

 赤岩尾根上部は尾根北側を巻くようにルートが移る。ガレた小さな谷を横断、鎖があるが無雪期なら不要、本格的に積雪すれば鎖は埋もれて急な雪面のトラバースとなる個所だ。その先も岩壁のトラバースで、それを越えれば県境稜線に達する。ここまで来てやっと立山、剱岳が姿を表す。いつ来ても感動的な光景だ。東の空は背の高い雲海で、志賀高原の高い山しか頭を出していない。残念ながら奥日光は見えなかった。

 珍しく無人の県境稜線から鹿島槍へと最初は下り。帰りに登り返すことになるのでちと憂鬱だ。冷池山荘は大半の登山者が出発した後で閑散としている。でも明日の天気予報はそこそこいいので、これから登ってくる人でお昼頃には賑わうだろう。テント場は皆無かと思ったら数張あり。おそらく主は鹿島槍山頂を往復しているのだろう。

 テント場の先からは稜線東側直下の草付きを歩くが草紅葉が進んでいる。常念岳より少ないがクロマメの木もありいくつか実をいただく。標高2520mを越えると本格的な森林限界を越えてハイマツ帯が広がるようになり、布引山へとジグザグに登っていく。前方には登山者の姿あり。種池山荘を出発したパーティーだろうか。高齢者グループでかなりのんびりペースなので先に行かせてもらう。

 急斜面を登り切った肩が布引山で、ここまで来れば鹿島槍は近い。ここまで休憩無しで歩いてきたが疲労はそれほどでもないのでこのまま山頂へ向かう。昨年秋の鹿島槍日帰りでは布引山でけっこう疲れた記憶がある。あの時は風が強かったが今日は弱風で体感的には適度な温度だ。

 最後は石ゴロゴロの登山道を登って鹿島槍山頂(南峰)に到着。何度目の山頂だろうか。後立山の中では一番多く登っていると思う。2900mに僅かに及ばない高さだがこの界隈では最高峰なので展望は文句無し。黒部川を挟んだ対岸には立山、剱岳、剱岳北方稜線と続く。手前に見えている黒部別山と仙人山〜坊主山に目が行くのは私だけだろう。南側の槍穂は雲がかかって見えないのが残念。大天井岳は姿を見せているが常念岳は雲の中。八ヶ岳、南アルプスも雲がかかって見えなかった。北に目を向けると五龍岳、天狗ノ頭、鑓ヶ岳、白馬岳、旭岳と後立山北部はすべて見えている。今日は日本海側に近い方が天気に恵まれているらしい。鹿島槍で正解だった。ここから見る牛首山の尾根は藪はそれほど濃くは見えず、藪が枯れた時期なら意外に簡単に到達できるかもしれない。

 まだ時間も体力も余裕があるので少しの休憩の後、北峰に向かう。残念ながら北峰に向かうのは少数派で、キレット方面に縦走する以外の登山者の多くは南峰で折り返していた。南峰から見る北峰は鞍部まで標高差約100mの下りで、見た目にはもっとありそうに感じるので北峰往復を諦める気持ちも分かる。でもここまで来たら時間に余裕があれば北峰も登っておきたい。往復1時間程度である。

 南峰からの下りはいきなりの急な岩場で、雪が降ったりして凍っている場合は厄介な場所となるが、凸凹が多く手がかり、足がかりには困らないので無雪期ならば難しくはない。ただし落石を落とさないよう要注意だ。ここで男女2人を追い越す。急な下りが終わればほぼ水平移動で最低鞍部。いつもなら南側に雪田が残るが今年は溶けて無くなっていた。北峰から下りて南峰へ戻る男性2人とすれ違う。

 縦走路は北峰山頂を通らずに西側を巻いてしまうが北峰山頂へ通じる登山道もあるのでそれを登る。分岐点にはザックが2つ転がっていたが2人の男性が下ってきたので彼らのものであろう。彼らはキレット方面へと下っていった。

 登りきると無人の北峰山頂。以前と違って小振りの山頂標識に変わっていた。東を見下ろすとカクネ里の雪渓がほぼ消えてしまっている。この雪渓は氷河ではないかとの話があって調査があった場所だが、まさか雪が消えてしまうとは。今年の小雪は異常だ。東尾根も草紅葉が色づき、アラ沢ノ頭が良く見えている。あそこへ登ったときはガスって見えなかったが、今なら南峰から丸見えだろう。もう登ることはないだろうな。

 写真だけ撮影して北峰を後にして南峰に戻る。南峰直下で北峰への登りですれ違った男性2名パーティーに追いつく。南峰山頂は大賑わいではないが常に数人の登山者が滞在している。周辺を見渡すと徐々に雲が増えており、薬師岳の稜線は完全に雲に閉ざされてしまい、立山や剱岳にも時々雲がかかるようになっていた。安曇野盆地は朝方は雲海に覆われていたのが南峰到着時には雲海が晴れていた。しかし今は再び雲海に覆われて、しかもその高さが徐々に高くなりキレット小屋にかかり始めていた。この分では県境稜線までガスが上がってくるのにさほど時間はかからないだろう。空の明るさも朝よりも暗くなったような気がする。すぐに雨が降る気配ではないが、下り坂であることは明白だ。雨が来ないうちに下山開始。

 下り始めて10人くらいの大パーティーとすれ違って以降はポツリポツリと登りの登山者とすれ違う。テント場のテントの数は朝と大差ないがメンバーは入れ替わっているだろう。冷池山荘の前は昼食中の人などで賑わっていた。

 鞍部から登り返して赤岩尾根へ。爺ヶ岳方面からは続々と登山者が下ってくるが、ガスに覆われ始めた赤岩尾根方面には人影は見えない。さて、大谷原の駐車場はどれくらいの入り込みがあるだろうか。まさか朝と同じく私の車以外は皆無なんてことはないだろうな。

 最初の岩壁帯のトラバースで登りの登山者とすれ違う。ちゃんとこちらのルートから登ってくる人もいて一安心。最近は鹿島槍の主要登山口は柏原新道になっている。確かに赤岩尾根は急な登りで足には優しくないが、足が強い人なら登りも下りも柏原新道より時間短縮が可能だし、帰りの登り返しが少ないのが精神的にもいい。

 岩壁帯のトラバースが終わり、森林限界の様相を見せる尾根を下っていく。ガスのおかげで涼しくて助かる。高千穂平より上部では登ってくる登山者とすれ違うが、大汗をかかずに済むだろう。高千穂平を過ぎて下りの傾斜がきつくなるが、残念ながら足元は湿ったままで石も階段も滑りやすいままで慎重に足を進める必要があった。それでも何回か滑って強制的に反射神経のトレーニングをさせられる。高千穂平以下ではすれ違う人はいなかった。

 赤岩尾根を下り終わり、堰堤を潜って対岸へ出て林道終点で水浴び。真夏より汗をかく量は格段に減ったがかかないわけで済むわけではない。汗でベタベタの肌を濡れタオルで拭うと爽快感抜群で、体感的には暑さが吹き飛ぶ。10月になればここまで汗をかかなくて済むようになるかな。そうしたら藪山に復帰だ。

 林道歩きでも出会った人は皆無。大谷原のゲートは珍しくも開いていて、代わりに車止めのトラロープが張ってあった。林道終点付近の堰堤工事の車が頻繁に出入りするのが理由らしい。土曜日も作業とはご苦労様。駐車場は2台分の空きはあるが車が止まっていた。橋を渡った対岸の駐車場は10台くらいの車が止まっていて、本日はそこそこの人数が入ったようだった。とは言え、扇沢の柏原新道登山口よりはだいぶ少ないだろうが。

 

山域別2000m峰リスト

 

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